老後にお金がない場合、生活費の不足だけでなく、医療費や介護費、住居費などの支払いが家計を圧迫する可能性があります。
現役時代と比べて収入が減りやすい一方で、老後も日々の生活費は継続してかかるため、貯蓄が少ない状態では生活水準を見直さなければならないケースがあるでしょう。
ただし、家計の見直しや住居費の削減、働き方の検討、公的制度の活用などによって、老後の金銭的な負担を抑えられる可能性があります。
この記事では、老後にお金がない場合に起こりうる生活上の影響を解説したうえで、老後破産のリスクを抑えるためにできる対策を紹介します。
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老後にお金がないとどうなる?想定される生活上の影響
老後資金が枯渇した場合、日々の生活や住居、医療・介護などに支障が生じる可能性があります。
現役時代と同じ感覚で支出を続けていると、年金収入だけでは毎月の赤字が続く可能性があります。
ここからは、資金不足によって生じる可能性がある具体的なリスクについて詳しく解説します。
生活水準が低下して医療や介護の選択肢が限られる可能性がある
資金が不足すると、日々の生活費だけでなく、医療や介護のサービスにかかる費用も家計の負担となり、利用の選択肢が限られる場合があります。
公的保険を利用しても、所得や制度の対象範囲などによって自己負担分や保険外の費用が生じる場合があります。
例えば、重い病気で入院した際は、差額ベッド代や日用品などの保険適用外の費用が家計の負担になることがあります。
介護が必要になった際も、施設によっては入居一時金などが必要となり、希望する施設を選びにくくなる場合があるでしょう。
もちろん高額療養費制度など、医療費の自己負担を軽減する制度もありますが、差額ベッド代や食事代など対象外となる費用もあります。
住宅ローンの返済や家賃の支払いが滞り住居を失うリスクが高まる
収入が年金中心になると、住居費の負担が重くなり、状況によっては住まいを維持することが難しくなる可能性があります。
持ち家であっても、固定資産税や修繕積立金などの滞納が続き、法的な手続きに進むと、差し押さえなどに至る可能性があります。
- 固定資産税や修繕積立金の滞納が続いた場合の法的措置
- 家賃滞納が続いた場合の契約解除や明け渡しのリスク
- 住所が定まらないことで郵便物の受け取りや各種手続きに支障が生じる
長年住み慣れたマイホームであっても、税金の滞納が続き公売などに至ると、住み続けることが難しくなる可能性があります。
例えば、築年数の古いマンションで給湯器が壊れても、数十万円の交換費用が捻出できず不便な生活を強いられることがあるでしょう。
賃貸の場合も、家賃滞納が続くと、契約解除や裁判手続きなどを経て明け渡しに至る可能性がある点には注意が必要です。
住まいを失って住所が定まらない状態になると、郵便物の受け取りや行政手続きなどに支障が生じる場合があります。
老後破産や自己破産に陥る可能性がある
生活費の補填として借り入れを重ねた結果、返済が難しくなり老後破産と呼ばれるような資金難に陥るケースがあります。
年金という限られた収入の中から、金利負担を含めた返済を続けると、家計への負担が重くなる場合があります。
- 生活費の補填として安易に借り入れを重ねる
- 年金収入の中から高金利の利息を含めた返済を続ける
- クレジットカードのリボ払いを多用する
貯蓄を取り崩す生活が続くと、少しの不足分を補うつもりでカードローンに手を出してしまう人が少なくありません。
例えば、クレジットカードのリボ払いを重ねると、毎月の返済額が家計を圧迫することがあります。
返済の見通しが立たない場合は、任意整理や自己破産などの債務整理について専門家に相談する方法があります。
自己破産では、免責が認められると多くの債務の支払義務が免除されますが、税金など一部の債務は免責の対象外です。また、一定の財産は処分の対象となる場合があります。
生活が困窮した場合は生活保護の利用を検討できる
収入や資産だけでは生活を維持することが難しい場合は、福祉事務所へ相談し、要件に応じて生活保護の利用を検討できます。
生活の維持が難しくなった際に利用を検討できる公的な支援制度だと言えます。
受給中は支給される保護費や収入の範囲で家計を管理する必要があり、娯楽などへの支出が限られる場合があります。
ただし、資産は生活のために活用することが原則であり、自動車や生命保険などの保有が認められるかは個別事情によって判断されます。
周囲の目を気にして申請をためらう方もいますが、命と日々の生活を守ることを優先して相談することが大切です。
恥ずかしいことだと抱え込まず、生活が立ち行かなくなる前に地域の福祉窓口へ相談しましょう。
老後破産に陥りやすい人の特徴
老後破産に陥りやすい人の特徴は以下のとおりです。
日々の小さな無駄遣いを見直さずに放置していると、気づかないうちに赤字が膨らんでしまいます。
以下では、老後資金が不足しやすい人の具体的な特徴について詳しく解説します。
現役時代の高い生活水準を落とせずに生活費が膨らみ続ける
定年後も現役時代と同じ感覚でお金を使い続けると、資金不足につながる可能性があります。
年金生活に入ると収入が減る場合がありますが、長年の生活習慣を急に変えることは簡単ではありません。
- 週末の外食や趣味への出費を削れない
- 少しの贅沢なら問題ないと考えてしまう
- 通信費や不要な保険などの固定費を見直さない
例えば、週末の外食や趣味への出費を見直さないままでいると、支出が積み重なり、家計を圧迫する可能性があります。
少しの贅沢なら問題ないと考えがちですが、その積み重ねが将来の家計を圧迫する点には注意が必要です。
退職金や年金の見込額を把握せずに無計画な支出を繰り返す
自身の将来の収入源を把握していないことは、資金不足につながる要因の一つと言えるでしょう。
ねんきん定期便などで見込額を確認せずにどんぶり勘定で生活していると、将来の資金不足に気づきにくくなる可能性があります。
例えば、退職金で車の買い替えや家のリフォームを安易に行い、日々の生活費が足りなくなるケースは少なくありません。
将来の受給額を知るのが怖いと感じる方も多いかもしれませんが、確認を先延ばしにすると準備が遅れる可能性があります。
住宅ローンや子どもの教育費の支払いが定年後も残っている
住宅ローンや教育費などの支払いが定年後まで続くと、家計の負担が重くなる可能性があります。
年金中心の収入から高額な固定費を支払う場合、生活費が圧迫される可能性があります。
- 年金という限られた収入から高額な固定費を捻出する必要がある
- 晩婚化の影響で子どもの学費の支払いが定年後まで続く
- 住宅ローンの返済が70代まで続くような計画になっている
例えば、子どもの大学進学時期と定年が重なる場合は、学費の支払いによって老後資金の準備に影響が出ることがあります。
さらに、住宅ローンの返済が70代まで続くような返済計画を組んでいる場合は、返済計画の見直しを検討しましょう。
退職金をハイリスクな投資につぎ込み大きな損失を出してしまう
まとまったお金を手にしたことをきっかけに、仕組みを十分に理解していない投資で損失を出すケースがあります。
老後の不安から利回りの高い商品に関心を持つ場合もありますが、リスク管理が不十分だと大切な老後資金が減少する可能性があります。
- まとまったお金を手にした解放感から不慣れな投資に手を出す
- 退職金の半分以上を仕組みがよくわからない外国株式などに投資する
- 生活防衛資金まで投資に回してしまう
例えば、退職金の多くを仕組みやリスクを十分に理解していない金融商品へ投資すると、価格下落によって老後の生活設計に影響する可能性があります。
資産運用を検討する場合でも、生活防衛資金まで投資に回さず、当面使う予定のない余剰資金の範囲で行うことが重要です。
老後破産のリスクを抑える対策5つ
資金不足による厳しい現実を回避するためには、現役時代から計画的な準備を進めることが重要だと言えるでしょう。
例えば、休日の数時間を使って書類を整理したり、スマートフォンの契約プランを見直したりすることが、支出の把握や削減につながる場合があります。
小さな見直しを継続することで、将来の家計状況の改善につながる可能性があります。
焦る気持ちを一旦落ち着かせ、まずは現状を正しく把握することから始めてみましょう。
以下では、老後破産のリスクを抑えるためのアクションプランを詳しく解説します。
ねんきん定期便を確認して将来受け取れる年金見込額を把握する
将来の生活設計を立てる第一歩として、ご自身が受け取れる年金見込額の目安を知ることが大切です。
毎年誕生月に届く通知書には、年齢に応じてこれまでの加入実績や年金見込額などが記載されています。
ねんきん定期便とは、日本年金機構から送られてくる年金記録の通知書のことです。
年齢に応じて加入実績や年金見込額などが記載されており、将来の収入を考える材料にできる点が特徴です。
ねんきん定期便を確認することで、これまでの加入記録や年金見込額を把握できます。
例えば、50歳以上の方のねんきん定期便には、現在の加入条件が60歳まで続くと仮定した年金見込額が記載されます。
老後の収入見込みを確認することで、今からいくら準備する必要があるのかを考えやすくなります。
ただし、記載されている金額はあくまで目安であり、今後の働き方や法改正によって変動する点には注意が必要です。
家計の収支を見直して通信費や保険料などの固定費を削減する
固定費を見直すと、その後も同じ契約条件が続く間は継続的な支出削減につながる場合があります。
- 大手通信会社のスマートフォンから格安プランへの乗り換え
- 不要な保険の解約やプランの見直し
- 利用していないサブスクリプションサービスの解約
例えば、スマートフォンの契約内容を低料金のプランに見直すことで、月々の通信費が下がる場合があります。
仮に毎月数千円の支出を減らし、その分を10年間貯蓄に回せば、数十万円の資金になる場合があります。
もちろん、必要な保障まで解約してしまうと、万が一の病気やケガの際に備えが不足する可能性があるため慎重な判断が求められます。
長年契約しているサービスを変えるのは面倒に感じるかもしれませんが、まずは明細書を確認してみてください。
定年後も働き続けて収入源を持ち貯蓄の減少を抑える
老後の資金の取り崩しを抑える方法の一つとして、体力や健康状態に応じて働き続けることが挙げられます。
労働による収入があれば、貯蓄を取り崩すペースを遅らせることが期待できます。
現役時代と同じペースで働くのは体力的にも厳しいと感じる方も多いのではないでしょうか。
例えば、週に3日のパートタイムや再雇用制度を活用して月10万円の収入を得られれば、その分を家計の不足額に充てられます。
再雇用制度を利用すると、定年後も同じ企業で働きながら収入を得られる場合があります。
ただし、再雇用後は現役時代と比べて給与水準が下がる場合があるため、生活費の調整も検討することが大切です。
NISAやiDeCoを活用して少額から長期的な資産形成を始める
銀行預金だけで資産を増やすのが難しい場合、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用することも選択肢の一つです。
NISAでは対象となる運用益が非課税になるなど、制度に応じた税制上のメリットがあります。
NISAを利用すると、制度の対象となる売却益や配当・分配金などを非課税で受け取れる場合があります。
毎月1万円を10年や20年にわたって積み立てる方法もありますが、運用成果は市場環境によって変動します。
一方で、投資には元本割れのリスクが伴うため、当面の生活に必要な資金は手元に残し、余剰資金の範囲で検討することが重要です。
年金の受給開始時期を遅らせて毎月の年金受給額を増やす
公的年金の受け取りを原則の65歳より後にずらすことで、生涯にわたって毎月の受給額を増やす戦略があります。
| 受給開始年齢 | 増額率の目安 |
|---|---|
| 66歳 | 8.4%増 |
| 70歳 | 42.0%増 |
| 75歳 | 84.0%増 |
例えば、70歳まで繰り下げた場合の増額率は42パーセントです。ただし、実際の手取り額は税金や社会保険料などの影響を受けます。
繰下げ受給が有利になるかは受給期間や税・社会保険料などによって異なり、受け取り開始前に亡くなった場合は総受給額にも影響します。
いつまで生きられるかは誰にもわからないため、受給時期の判断に迷うのは当然のことだと言えるでしょう。
ご自身の健康状態や定年後の就労収入などを総合的に考慮し、受け取りタイミングを検討してみてください。
持ち家なしや単身者が老後に備えるための生活戦略
持ち家がない場合や頼れる家族がいない単身者の場合、老後に向けて住居費や公的な支援体制を確認しておくことが重要です。
現役時代と同じ水準の家賃を払い続けると、年金収入に占める住居費の割合が高くなり、家計を圧迫する可能性があります。
- 住居費の見直しと公的なサポート体制の構築が重要
- 必要に応じて生活サイズの見直しを検討する
- 国や自治体が提供する公的な支援策を適切に組み合わせる
そのため、家計状況に応じて生活サイズの見直しを検討することが大切です。
頼れる人が近くにいないことで、万が一の事態を想像して心細く感じる方も多いはずです。
国や自治体が提供する公的な支援策を状況に応じて活用することで、一人暮らしの生活を支える助けになる場合があります。
しかし、これらの制度は自ら申請や相談を行わないと利用できない仕組みになっています。
以下では、住まいの維持や公的窓口の活用など、具体的な対策について解説します。
賃貸住まいの場合は公営住宅やUR賃貸住宅への住み替えを検討する
賃貸住宅に住んでおり、毎月の家賃負担を抑えたい場合は、公営住宅やUR賃貸住宅への住み替えを検討する方法があります。
公営住宅とUR賃貸住宅の主な特徴は、以下のとおりです。
| 住宅の種類 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 公営住宅 | 一定の収入要件などを満たすことで、民間の賃貸住宅よりも家賃を抑えられる場合がある | 募集時期や入居条件が決められており、応募者が多い場合は抽選になることもある |
| UR賃貸住宅 | 礼金・仲介手数料・更新料が不要で、入居時や更新時の費用を抑えやすい | 物件によって家賃や立地が異なるため、現在の住居費との比較が必要 |
公営住宅は、自治体が運営する住宅で、収入など一定の条件を満たす方にとって住居費を抑える選択肢になります。
一方、UR賃貸住宅は、毎月の家賃だけでなく、礼金や仲介手数料、更新料といった費用も含めて比較することが大切です。
家賃は毎月継続して発生する固定費のため、住み替えによって負担を抑えられれば、生活費全体の見直しにもつながります。
単身者は地域包括支援センターなどの公的な相談窓口とつながる
一人暮らしの老後を迎える方は、地域包括支援センターを相談先として早めに把握しておくと安心です。
この機関は、高齢者の生活や介護に関する幅広い相談を受け付ける総合相談窓口として機能しています。
専門職に相談できるため、困りごとに応じて必要な支援や関係機関につないでもらえる場合があります。
例えば、認知症の不安がある場合でも、適切な医療機関や介護サービスへの橋渡しを行ってくれます。
いざという時に焦らないよう、健康なうちから最寄りのセンターの場所や連絡先を把握しておく必要があります。
孤立を防ぐための重要なセーフティネットとして、積極的に活用を検討してみてください。
医療費負担を軽減するために高額療養費制度の仕組みを理解する
医療費が高額になった場合に備えて、高額療養費制度の仕組みを知っておくことが重要です。
この制度を利用すれば、ひと月にかかった医療費が自己負担限度額を超えた場合、超過分が後から払い戻されます。
医療機関がオンライン資格確認に対応している場合は、マイナ保険証で限度額情報の提供に同意することで、原則として窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えられます。
利用できない場合などは、限度額適用認定証が必要となることがあります。
例えば、医療費が高額になった場合でも、年齢や所得区分などに応じた自己負担限度額が適用されます。実際の負担額は所得や医療費の額によって異なります。
もちろん、差額ベッド代や入院中の食事代などは制度の対象外となる点には注意が必要です。
老後資金が足りない場合に検討できる資産活用法と公的支援
これまで対策をしていても、想定外の支出などによって老後の資金が不足する場合があります。
そのような状況に陥った際は、現在所有している資産の活用を検討したり、公的なセーフティネットへ相談したりする方法があります。
厳しい現実から目を背けず、具体的な行動を起こしましょう。
- 現在所有している資産の活用を検討する
- 長年住み慣れた家を手放さずに生活費を捻出する
- 行政の支援窓口へ相談に行き公的なセーフティネットに頼る
持ち家などの不動産がある場合は、それを資金源として生活を立て直す方法がいくつか存在します。
例えば、長年住み慣れた家を手放さずに生活費を捻出したり、行政の支援窓口へ相談に行ったりする選択肢が挙げられます。
以下では、手元の資金が不足しそうな時に検討できる具体的な選択肢について詳しく解説します。
持ち家を売却して現金化しつつ住み続けるリースバックを活用する
まとまった資金が必要なものの、今の家から引っ越したくない場合はリースバックも選択肢の一つです。
リースバックとは、自宅を不動産会社などに一度売却し、その後は賃貸物件として家賃を払いながら同じ家に住み続ける仕組みです。
所有権を手放すため固定資産税の納税義務はなくなりますが、修繕費の負担範囲などは賃貸借契約の内容によって異なります。
所有に伴う一部の支出を整理できる点はメリットの一つです。
例えば、売却代金で住宅ローンの残債や諸費用を差し引いた後に資金が残る場合は、その資金を生活費や医療費に充てるといった使い方も考えられます。
ただし、売却価格は通常の市場相場よりも低くなる傾向があり、毎月の家賃支払いが発生する点には注意が必要です。
ご自身の健康状態や今後のライフプランを考慮したうえで、慎重に検討を進めてください。
自宅を担保に資金を借り入れるリバースモーゲージを利用する
自宅の所有権を維持したまま老後資金を用意したい場合は、リバースモーゲージの利用も選択肢となります。
リバースモーゲージとは、自宅を担保にして金融機関から資金を借り入れ、契約終了時に自宅の売却などで元金を返済するのが一般的な仕組みです。返済方法や契約終了の条件は商品によって異なります。
商品によっては、契約中は利息のみを支払うため、元利均等返済などと比べて月々の返済額を抑えられる場合があります。
ただし、年金収入だけで返済を続けられるかは、借入額や金利、生活費などによって異なります。
借入条件によっては、利息部分を支払いながらまとまった資金を利用できる場合があります。
一方で、金利上昇や不動産価格の下落、借入期間の長期化などによって、借入残高と担保評価額の関係が変化するリスクがあります。
収入や資産だけで生活が難しい場合は生活保護の申請を検討する
収入や資産だけでは生活の維持が困難な場合は、福祉事務所に相談し、生活保護の利用を検討してください。
生活保護は、生活に困窮する方に対して最低限度の生活を保障し、自立を支援する公的制度です。
- 最低生活費と世帯収入などの差に応じて保護費が支給される
- 医療扶助・介護扶助の対象となる費用は原則として本人負担なしで利用できる
- 世帯の収入や資産などの要件に応じて必要な保護を受けられる
生活の維持が難しい場合は、申請前に自己判断で諦めず、福祉事務所に相談することが大切です。
受給が決定すると、最低生活費と収入などの差に応じた保護費が支給され、医療扶助・介護扶助の対象となる費用は原則として本人負担なしで利用できます。
資産は生活のために活用することが原則ですが、車や持ち家などの保有が認められる場合もあるため、処分する前に福祉事務所へ確認することが大切です。
老後にお金がない事態に関するよくある質問
老後の資金不安について考え始めると、さまざまな疑問が湧いてくるものです。
ここでは、老後にお金がない事態に関して多くの方が抱える代表的な疑問をまとめました。
例えば、50代から準備を始めて間に合うのかといった切実な悩みは、多くの方が直面する共通の課題と言えるでしょう。
以下では、それぞれの疑問に対して具体的なデータや制度を交えながら詳しく解説します。
Q. 貯金が全くない状態でも年金だけで老後の生活は可能ですか?
貯金がない状態で年金だけで生活できるかは、年金額や住居費、生活費などによって異なります。
総務省の家計調査では、高齢無職世帯でも世帯構成や年によって収支状況が異なり、可処分所得より消費支出が多くなる場合があります。
年金額より生活費が多い場合は、毎月不足額が生じるため、貯蓄の取り崩しなどで補う必要があります。
蓄えが少ない場合は、毎月の不足分や突発的な医療費・介護費用に対応できる余力が小さくなります。
家賃や食費などの支出が、受け取る年金額を上回る場合もあります。
例えば、毎月の生活費が25万円かかるのに対し、年金の受給額が20万円であれば、毎月5万円の赤字が発生します。
蓄えがなければ、この毎月の不足分を補填する手段がなくなってしまいます。
持ち家で住居費を抑えられる場合や、生活費が比較的少ない場合など、年金の範囲内で生活できるケースもあります。
それでも、突発的な医療費や介護費用が発生した際に対応できなくなる点には注意が必要です。
まずはねんきん定期便などで将来の受給見込額を確認してみてください。
Q. 老後資金は夫婦で最低いくら準備しておけば安心ですか?
夫婦で必要な老後資金に一律の金額はなく、年金の受給額や生活費、住居費、退職金、老後の期間などによって異なります。
必要額を考える方法の一つとして、毎月の不足額と想定する老後の生活期間を掛け合わせる試算があります。
- 毎月の赤字額と老後の生活期間を掛け合わせて算出する
- 毎月5万円の赤字が30年間続くと仮定した場合、1,800万円が必要になる
- 自宅の修繕費や車の買い替え費用などの特別支出も見込む必要がある
仮に毎月5万円の赤字が30年間続くと仮定した場合、単純計算で1,800万円の資金を取り崩す計算になります。
これに加えて、自宅の修繕費や車の買い替え費用などの特別支出を見込むと、さらにまとまったお金が求められます。
例えば、旅行や趣味などへの支出を多く見込む場合は、その分だけ準備する必要額も増えます。
一方で、退職金や企業年金などを受け取れる場合は、自分で準備する必要額が少なくなることもあります。
ご自身の退職金の見込額や、加入している企業年金の状況を事前に確認しておくことが重要です。
Q. 50代から老後資金の準備を始めてもまだ間に合いますか?
50代からでも、家計状況や退職までの期間に応じて取り組める老後資金対策があります。
50代では、住宅ローンの返済状況や子どもの独立などによって家計の負担が軽くなり、貯蓄に回せる金額が増える場合があります。
- 住宅ローンの完済や子どもの独立で貯蓄に回せる金額が増える場合がある
- 教育費に消えていたお金を積立投資や定期預金に回せる
- 再雇用制度を活用して働き続けることで資産を取り崩す時期を遅らせられる
教育費などの負担が減った場合は、その分を貯蓄や、リスクを理解したうえでの積立投資に回す方法があります。
例えば、毎月5万円を10年間貯蓄し続ければ、元本だけで600万円になります。
さらに、定年退職後も再雇用制度などを活用して働き続けることで、資産を取り崩す時期を遅らせる効果も期待できます。
ただし、準備期間が短いからといって、焦ってハイリスクな金融商品へ資金を集中させると、損失リスクが高まります。
50代以降は、若い世代と比べて損失から回復するために使える運用期間が短くなりやすい点に注意が必要です。
Q. 高齢者が生活保護を受給するための具体的な条件は何ですか?
生活保護は、世帯の収入が厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費に満たない場合に、その不足分を補うことを基本とする制度です。
利用できる資産や他の給付などは生活のために活用することが原則ですが、持ち家や自動車などの保有が認められる場合もあります。
また、親族から援助を受けられないことだけを理由に申請できないわけではありません。
- 世帯の収入が最低生活費に満たないこと
- 利用できる資産は生活のために活用することが原則であること
- 他の制度や援助の利用可能性も確認されること
年金を受給している場合でも、その金額が最低生活費に満たなければ、不足分を生活保護費として受け取れる仕組みが設けられています。
例えば、年金収入が毎月6万円で、家賃や食費を支払うと手元にお金が全く残らないようなケースが該当します。
生命保険や車などの資産を保有している場合でも、保有を続けられるかは個別事情によって判断されるため、自己判断で処分する前に福祉事務所へ相談しましょう。
生活保護は生活に困窮した際に利用を検討できる制度です。生活の維持が難しい場合は、福祉事務所への相談や申請を検討できます。
周囲の目を気にして相談を先延ばしにすると、生活や健康への影響が深刻になる可能性があります。
まとめ:老後にお金がない事態は事前のシミュレーションと対策で防ごう
老後の資金不足に備えるには、現在の状況を把握して早めに対策を検討することが重要です。
ねんきん定期便やねんきんネットを活用すると、年金見込額を確認しながら老後の収支を試算できます。
これからの生活を乗り切れるだろうかと不安になるかもしれませんが、小さな見直しを積み重ねることが家計の改善につながる可能性があります。
例えば、毎月の通信費や保険料といった固定費を数千円見直すだけでも、10年間で数十万円のゆとりを生み出すことが可能です。
一方で、対策を先延ばしにしてしまうと、年齢を重ねるごとに取り得る選択肢が狭まってしまう点には注意が必要です。
手遅れだと決めつけず、まずはご自身の生活費や収入、資産状況を振り返ってみましょう。
本記事は、資産形成に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務、社会保険、投資判断、金融商品・不動産取引上の判断を行うものではありません。必要資金、税金・社会保険料、各制度の利用可否、投資成果等は、年齢、収入、家族構成、資産状況、居住地、制度改正、市場環境等により異なります。具体的な税額、制度の適用可否、投資判断、ローン・不動産担保商品の利用については、必要に応じて税理士、社会保険の窓口、金融機関、不動産会社等にご確認ください。

