お金について学ぶ機会が少ない現状。セミナーを通して、より良い未来を
2020年、FANTASではクラウド型資産管理アプリの提供、AIを活用した自動査定・買取り、クラウドファンディングを通した空き家の再生など、さまざまなサービスをプラットフォーム上で展開し、ユーザーとのインターフェースとしています。
また、これらのサービスを相互に連携させながら、不動産・金融領域における商材データと顧客データの最適マッチングを実現し、お客様一人ひとりにとっての価値を最大化するためのオフライン接点として、資産形成、税金対策、年金問題など、主にお金にまつわる幅広い知識を提供するセミナーを開催しています。
特に女性限定の「マネカツセミナー」には年間約1万人が参加し、お客様からも高い評価を頂いています。
安川 「世界と比べて日本はお金について学ぶ機会が少ないので、人によって金融リテラシーの差が大きい傾向があります。そこで当社では、セミナーを通して、普通に暮らしているとなかなか知ることができない知識を提供し、将来について考える機会にしていただいています。
たとえば、資産運用を始めるには、各金融商品の特性を理解し、自分の考え方や生活状況に合った運用方法を見つけることが重要なので、ただ学ぶだけでなく、セミナーに参加していただいた方が自分自身の現状と向き合い、一歩踏み出せるようサポートするのが当社セミナーの特長です」
高田「これまでお客様とは、実際に顔を合わせて会話のできる対面形式で、じっくりと信頼関係を築いてきました。
その結果、セミナーに来場いただいたことをきっかけに投資や資産形成を始めたお客様から、『あなたにお任せしてよかった』という言葉をたくさん頂くことができて、やりがいを感じていました」
お客様が安心して新たな一歩を踏み出せるように、当社のコンサルタントはお客様一人一人に寄り添ってオーダーメイドの提案をしているので、これまで顔を合わせて会話をすることに価値を置いてきました。
ところが、今年はコロナウイルス感染症拡大により状況が大きく変わります。
安川 「コロナウイルスの感染拡大とともに、セミナーや面談のキャンセルが増えていきました。
最初は漠然と焦りを感じていましたが、まずは、来場しなくてもいいようにセミナーをオンラインに切り替える準備を進めていくことになりました。初めてのことなので入念に、と思っていたのですが、想像以上のスピードで事態が深刻になっていきました」
感染拡大に伴い、夜間の外出自粛要請が発令された3月下旬、FANTASは大きく舵を切ります。
安川「急遽、セミナーをオンラインで生配信することが決まりました。
決定から本番まで、あまりにも時間が無かったので、その頃のことははっきり覚えていないほど、ものすごいスピードで物事が動いていきましたね。オンラインで生配信するための設備等を含めた会場の選定、ルール決め、社内システムや通信環境の整備などを3日くらいで(笑)。
私たちセミナー運営チームだけでなく、各部署が一丸となって進めました。
特に、これまで対面で行ってきた個別相談をオンラインに切り替えなくてはいけなかったコンサルタントは、初めてのことに不安を感じていたと思います」
高田「セミナーの生配信に伴い、セミナー終了後に実施していた個別相談も対面でなく、オンラインで画面越しに対応することになりました。この方法で満足のいくコミュニケーションが取れるのかという点が一番の懸念でしたね」
不安もある中、メンバー同士協力しながら準備を進め、迎えたセミナーの生配信当日。
安川「お客様からどのように見えているのか、音声は聞こえているのかなど、心配事は尽きませんでした。だからこそ、カメラやマイクの位置、資料の映し方など、とにかくギリギリまで検証を重ねました。
それでもアクシデントは起こるもので…。お客様から『音が聞こえない』と連絡が入った時は焦りましたね。
しかし、配信の場にいたメンバーだけでなく、社内にいたメンバーにも協力してもらって対処し、何とか無事に配信を行うことができました」
普段から信頼関係を築いてきたセミナー運営チームとコンサルタントが連携して、新たなスタートを切ったのです。
どんなときもチャレンジする姿勢。オンラインセミナー実装への道のりとは
安川「セミナーを生配信することはできましたが、この先どのようにして、継続的にオンラインセミナーを開催していくのか、また、セミナー以降の個別相談などはオンラインでも上手くいくのだろうかなど、向き合う課題は山積みでした」
高田 「以前からオンライン面談は推進していたのですが、コンサルタント達は扱っている商材が高額なものということもあり、対面で信頼を築くことに重点を置いていました」
とはいえ、状況は簡単に変わってくれません。セミナー運営チーム、コンサルタントそれぞれのチャレンジが始まりました。
最初に変えなければならなかったのが、対面での関係構築を重視してきたからこそのオンライン面談に対する、コンサルタントの苦手意識だったといいます。
高田は、この課題を解決するために、まずは二人一組になって、オンラインコミュニケーションに馴れることから始めようと考えました。その取り組みの中で気づいたことをグループ全体に共有し、次の実践につなげていきました。
高田「オンラインでも、対面同様にスムーズな対応ができるよう、コンサルタント全員で日々試行錯誤を重ねました。たとえば、対面で使用する資料を、オンラインでもスムーズに理解していただくにはどう見せるのが良いかという点や、画面上では名刺を渡せないので、画面を通しても人物像が伝わるようなプロフィールシートを作成したりと、メンバー全員のアイディアで、ゼロからオンライン面談の形を作っていきました。
加えて、セミナーから個別相談までの流れを、お客様に負担がかからないようにすることが重要なポイントだったので、運営チームの協力が必要不可欠でした」
安川 「私たちは、第一にお客様がオンラインでもストレスなく参加していただけるセミナー設計をするということを意識して、セミナーのオンライン化に取り組んでいました。
その中で、自分たちがミスなく運営するということだけではなく、いかにスムーズにコンサルタントとの個別相談に橋渡しできるかということが重要だと気づいたんです。
オンラインでも私たちの提供する価値は変わらない、むしろこれまで以上の価値を提供していくために、運営とコンサルタントの連携の必要性を実感しましたね。みんなで協力しながら、色々と試しているうちにより良い方法が見えてきて、少しずつ可能性を感じられるようになりました」
徐々にオンライン化の道筋が見えてきたFANTAS。
しかし、そこで緊急事態宣言の発令がされたのです。
“学ぶ機会”の幅を広げたオンライン化。その中で見えてきた課題と工夫
安川 「緊急事態宣言の発令後、全社的にリモート勤務となり、出社できなくなってしまいました。
出社していれば、身近に助け合える環境がありますが、リモートだと個人で解決しなければならない局面が多くるので、正直、不安は大きかったですね」
安川は、経験したことがない状況の中で、自分たちで考え、一つずつ新たな方法を作り上げていくしかなかった当時のことを振り返ります。
安川「考えつづけざるを得ない状況にあった分、今まで以上に運営チームのメンバー、コンサルタントとのつながりは深くなったと思っています。
オンラインでの連携も徐々に問題なくできるようになり、とても心強かったです。誰かが決めた方法ではなく、自分たちで作り上げた方法で進めていく面白さも感じました」
一方、コンサルタント側にとってもリモート化の影響は大きかったといいます。
高田 「メンバーがオンラインに慣れてきた頃ではあったものの、リモート環境ではなかなかサポートが難しかったですね。
たとえば、コンサルタントそれぞれの自宅での通信環境。対応できるメンバーが限られてしまうと、一部に負荷がかかってしまうので、そういった部分の調整も大変でした。やってみないとわからないことが多く、日々ハラハラしていました。
その後、会社からのwifi支給により通信環境は改善され、対応メンバーは回数を重ねていくうちに、自分たちでどのように動けばお客様に負担をかけずにスムーズにご案内ができるのか、一連の流れを掴んだことで、オンラインでも同じように価値が提供できる、という手ごたえを感じられるようになりました。オンライン対応の実現により、今後の可能性の広がりを実感しているメンバーが増えていたのも印象的でした」
一つ一つ困難を乗り越え、これまでと同等の価値を提供できる状態が整いつつありましたが、新たな問題も出てきます。
高田「始めたばかりの頃は、セミナー終了後に自動的に画面が切り替わってしまったりして、参加者の方が驚かれてしまうということもありました。
その後、事前にアナウンスを入れるなど工夫をして、とにかく安心感を持ってもらえるよう流れを変更しました。お客様と接する中で、運営側とコンサルタントがお互いに意見を出し合って改善していくことが、いい意味で当たり前になっていったと感じています」
これまでは苦手意識のあったオンライン面談も、今ではコンサルタント全員が当たり前にできるようになりました。その中で新たな発見もあったようです。
高田 「意外だったのは、対面よりもオンラインを希望するお客様が多かったという点ですね。
もちろんコロナの影響で直接会うことに対して抵抗感があったというのが大きな理由だと思いますが、直接会うことにそこまでこだわりがないというのは、こうしてオンライン化したからこそ気づけたことでした。
ですが、もちろん対面でお会いできない分、お客様がオンラインだけで完結してしまうことへの不安を感じるという側面もあります。今まで以上に会話の回数を重ねて、どう信頼関係を築くべきか考え続ける必要性を感じています」
安川 「オンラインでも、オフラインと変わらずお客様に価値のある情報を提供できることがわかったので、より多くのお客様に参加いただけるように、開催の頻度を増やすことにしました。
それまでは仕事終わりの夜の時間や休日の開催が多かったのですが、平日の日中の日程を追加してみたところ、出社前の早い時間にご参加いただく方が大勢いらっしゃったんです。時差出勤の影響が大きかったと思いますが、驚きでしたね。
また、全国各地どこでもセミナーが受講できるようになったのも、オンラインならではだと思っています。
これまでも東京、大阪、名古屋、福岡など各地でセミナーを開催してきましたが、あくまで限られた場所のオフライン接点だったセミナーが、オンライン化したことによって様々な地域のお客様にご参加いただけるようになり、よりたくさんのお客様に対して情報をお届けできるようになりました。
全国の皆様にFANTASを知っていただけることで、ファンになっていただける機会の広がりを感じています」
オンライン接点に見出した新たな可能性と未来
セミナーのオンライン化により、FANTASはこれまで以上にお客様との出会いを増やすことが可能になりました。
しかし現状に満足することなく、さらなる改善を考えています。
安川 「セミナーは1回2時間ほどですが、問い合わせ対応やセミナー情報の管理をしていると、一日中セミナーに張り付きになることも少なくありません。もちろん重要なことではありますが、新たなセミナーの企画や、配信コンテンツの増加など、できることの幅をもっと広げたいと考えています。
今後は、より効率的にセミナーを開催できるよう、テクノロジーを活用した仕組みづくりを進めていきたいです」
高田 「私は、お客様の人数が増える分、お客様一人一人との関係性が希薄になってしまう可能性を考えて、いかに一人一人との信頼関係を強め、長期的にお付き合いいただけるサービスにしていけるか ということを考えています。
たとえばMAツールを使って、適切な相手に適切なアプローチをすることが可能になれば、お客様それぞれの求める情報をしっかりお届けできるので、満足度向上につながるのではないかと考えています。
また、セミナーの種類や配信する情報をもっと充実させ、情報発信自体をサブスクリプションのサービスとして提供し、いつでもどこでも学ぶことができるサービスを作るなんてことができたら面白いななんて勝手に考えたりしています」
安川は今後オンラインセミナーが主流になっていくことで、主催者側として意識の変化が必要だと考えているといいます。
安川 「オンラインでも、これまで以上に価値提供するために自分のスキルをどう上げていくべきか、ということは常に考えています。新たな試みのためには、自分たちも変化し続けなければならないですよね。
たとえば、今後開催を予定しているセミナーでは、社内のメンバーが講師として登壇する予定です。『どんな新たなチャレンジをするにも、セミナー運営チームがいれば安心してセミナーができる』と思ってもらえるよう、オンラインでもオフラインでも同じように、お客様に価値を提供するためのスキルを身につけて、DX推進につなげていきたいと思います」
お客様との接点として重要な、セミナーの企画・運営に携わる高田と安川は、コロナ禍という異例の事態においても、短期間でいち早く現場のメンバーと動きだし、セミナーのオンライン化を円滑に進めて、未来の可能性を切り拓いたのです。
──FANTASはオンラインでもオフラインでも、お客様に寄り添うことを第一に、新たな時代のコミュニケーションの在り方を追求し続けます。
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